協同組合運動研究会

日時:2009年11月14日(土)午後2時〜5時
場所:エル・コープ西センター会議室(桂川駅東徒歩3分)


報告:渡邊太(社会学者)
内容:空間・運動・ユーモア ―文化と生活の実験―

1999年シアトル以降の反グローバリズム運動に呼応するようなスタイルの新しい運動が2000年代以降、日本でも出現しはじめ、従来の運動とは異なる新しい運動文化のようなものが出現している。若者たちを中心とする街頭デモでは、トラックの荷台にサウンドシステムを搭載し、ハードコア・パンクやヘヴィ・ロック、クラブ・ミュージックを大音量で流しながら踊り歩くというサウンド・デモが恒例となっている。ビラのデザインもクラブのフライヤーのような洒落たものや手書きの脱力系デザインが目立つし、プラカードも自家製の手作り感覚あふれるものが多数見られるなど、いわゆる左翼くさくない点が特徴的といえる。
新しい運動文化の特徴のひとつは、戦術としてのユーモアを積極的に活用している点である。また、非日常的なデモンストレーションとはべつに、日常的に集合性を維持するような場所をつくる運動という側面がある点も重要である。これら拠点づくりの活動は、日常生活のなかに資本主義的ではない時間・空間をつくりだそうとする試みとしての意義をもつ。それは、現在を犠牲にすることによって未来の革命を幻視することから手を切って、いまいる場所のうちにユートピアを(あるいは資本の隙間を)つくりだす現在性の運動といえる。
本報告では、こうした新しい運動文化を場所とユーモアという視点から考察する。(渡邊太)